Ⅳ.菜園起業のビジネスモデル

自分で菜園を営み、お野菜を育てているわけですから、育てたお野菜を売ったり、農業体験の企画をしたりすれば、それが菜園起業の出発点になります。
つまり、「お金」を取って、菜園活動から生じるモノやサービスを売れば、菜園起業なわけです。
具体的には、野菜の直売や宅配、会員制ビジネス、体験農園の運営などがあげられます。
それぞれのやり方について、ご説明していきましょう。


菜園起業は、当たり前の事を当たり前にやっていれば、成功します。

農業も、起業もやったことがなくても大丈夫です。

成功のポイントは、3つの明確化。

つまり、「商品の明確化」、「サービスの明確化」、「ビジネスモデルの明確化」

この3つです。

商品の明確化

まず、「商品の明確化」から説明致します。

一言で言えば、「何をいくらで売るのか」はっきりさせる、

つまり、商品名と価格を明快にすることです。

「大根・一本100円」…

これは商品です。

値段が50円でも、200円でも、商品です。

10本・1000円とか、

1ケース・800円とか、

そういう売り方でも構いませんが、

とにかく、それらは、商品名と価格が明確になっています。

畑にある大根は、商品ではありません。

値段がついていないからです。

畑には、「大根」と言う名称の物体があるだけです。

同じ「大根」と言う名前でも、

「大根・一本100円」の「大根」は、商品名ですが、

畑にある大根は、単なる物体の名称です。

もし、大根を畑においたままでも、

大根収穫体験・1日1000円と言うサービスを

考えるなら、

そのサービスは、「商品」だと言えます。

「大根収穫体験」と言う商品名があり、

一日1000円と言う価格が明確になっているからです。

菜園起業はビジネスです。

ビジネスは、商品が売れてなんぼの世界です。

だから、菜園起業の出発点は、商品を明確にすることです。

菜園起業の相談で、壮大な構想やキラキラなデザインの

企画書を持ってこられる方が多いのですが、

どんな素晴らしい構想やデザインの企画やウェブを用意しても、

「何をいくらで売るか?」がハッキリしていなければ、

事業としては成り立ちません。

そこが明確でないと、誰も、商品を買えない…

つまり、売上があがらないからです。

とっても当たり前過ぎて、誰も、言わないようなことですが、

成功のためには、まず、商品を明確化しましょう。


サービスの明確化

菜園起業、成功のポイント第2は、サービスの明確化です。

どんな素晴らしい商品があったとしても、それだけでは売れません。

その商品がどうしたら手に入るかと言うサービスが明確になっていなければならないのです。

 

仮に、野菜を売ることを考えてみましょう。

地元で採れた新鮮なお野菜、農薬も使っていないし、

味も抜群、値段もリーズナブル。

しかし、そのお野菜をお客様はどうしたら買うことが出来るのでしょうか?

「毎週火曜日12時~14時・直売市オープンしています。」とか、

「ご希望の方に宅配致します。」とか、「ネット通販で申し込んで下さい」とか、

お野菜を買う手段を告知しなかったら、お客様は、買う方法が分かりません。

直売の場合だったら、菜園の片隅にでも、「直売スペース」を作るとか、

「売り場」が必要です。

宅配なら、宅配の申込方法がチラシやウェブに明記されていて、

例えば、毎週・火曜日にお届けしますとか、そういう事が決まっていなければなりません。

ネット通販なら、ウェブカートがあって、そこに商品が示されていないと

いけないでしょう。

こういう風に、お客様が買う手段を確立することが、

「サービスの明確化」です。

別な言い方をすれば、「あなたのお野菜をほしいと

思っていらっしゃるお客様が、『どうしたら買えるの?』

と素朴な疑問を持っている、

その素朴な問いに応える」事が、サービスの明確化なのです。

ウェブページには、絶対に、「申込ボタン」をつけましょう。

(素晴らしいサイトを作ることに夢中になりすぎて、「申込ボタン」を

付け忘れる人は、案外と多いです。)

申込ボタンをつけるだけで、売上がアップします。

(と言うか、つけなければ、申込のしようがないので、

絶対に売れません。)


ビジネスモデルの明確化

菜園起業成功のポイント、第3は、「ビジネスモデルの明確化」です。

菜園起業のご相談では、例えば、野菜をブランド化して、

レストランに卸したいとか、野菜の直売もやっているような

カフェのような体験農園を作りたいとか、と言うようなお話が多く見かけられます。

そういう企画は、それぞれ素晴らしいものですが、実現していくためには、

ちょっと腰を落として考えていく必要があります。

例えば、野菜を売ると言う場合、

協同購入してくれるグループが10ヶ所あったとすると、

各グループに10人の人がいて、1点100円の野菜を

10種類づつ買ってくれるとすると、

100円 × 10点 × 10人 × 10ヶ所 = 10万円。

毎週、これが続けられば、年約500万円の売上になります。

一方、直売所を開設して、毎日20人のお客さんが来場し、

客単価が1000円だとすると、

週5日稼働させれば、

1000円 × 20人 × 5日間 = 10万円で、

毎週続けられれば、やはり、年約500万円の売上になります。

この2つの例の場合、

協同購入型なら、、

協同購入してくれるグループを増やしていく営業活動が

重要になりますし、

直売所型でいくなら、毎日20人お客さんが来てくれるように

集客することが必要になってきます。

このように、一口で野菜を売ると言っても

色々な「稼ぎ方」がありますが、

これらの例のように、

単純な数式で、稼ぎ方を表してみたもの

これが「ビジネスモデル」です。

もちろん、ビジネスモデルは、途中で変えてもかまいませんが、

「1000円買ってくれる人が、毎日20人来てくれれば、

年500万の売上が達成できる」

と言うように、

「稼ぎ方」を図式化して考えてみることで、

事業の目標が整理され、

その目標を達成するための「手段」が見えてきます。

漠然と、ブランド化したいとか、カフェ的な農園と

思っていたことを具体的な形にしていく

そのための方法が、「ビジネスモデルの明確化」です。

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