野菜栽培レッスンプロの画像

ちょっと自己紹介

僕(増山博康)は、さいたま市の農業委員会から認められた「農家」です。野菜の販売をしたり、菜園教室の運営をしたりしています。

元々は、理工学部化学科出身、工業物理化学専攻です。大学を出た後、環境計量士の国家資格を取り、水質・大気・土壌等の環境測定をしていました。

森林土壌の測定をしていた時、農地も調べてもらえないのかと言われて、農地の土壌診断に関わるようになりました。

その時に出来た人間関係が縁で農家に弟子入りし、野菜栽培を教えてもらったのが、「農家」になったきっかけです。

やった♪、ラッキー♪、これで「食いっぱぐれない」と思った

僕の「師匠」となった方から「俺が(野菜づくりを)教えてやる」と言われた時、僕は内心、やったぁ、ラッキー、これで食いっぱぐれないと思いました。

実は、環境ビジネスの会社と言うと聞こえがいいですが、実態は補助金だよりである時、予定していた行政予算がつかず、本当にどうしていいか途方にくれた事があるのです。

事務所にならんだパソコンをみながら、パソコンは食えないんだよなぁ、お米があれば人間餓え死にしないんだよなぁと思った日の事が脳裏にあったので、なにかあってもとりあえず、野菜を育てる事ができれば生きていけると思ったのです。

僕には異世界センサーがついている?

農家に弟子入りしたと話したら、周りからメチャクチャ羨ましがられました。そんな事ができるんだ、スゴイと言われて、そうか、普通はできないことなんだ、僕にはもしかして「異世界センサー」がついていて、普通の人が出来ないことができるんじゃないか、じゃあ、その異世界と普通の人を結ぶ仕事をしようと思ったのが、野菜栽培レッスンプロをやろうと思ったひとつのきっかけです。

野菜づくりの腕は絶品だが教えるスキルがない「師匠」

ところで、オレが教えてやると言った僕の「師匠」は実は教えるのが苦手でした。

農作業の度に、自分がまずやってみせて、じゃあ、オマエやれと言うのですが、僕が、こうするのかなぁと手足を動かすと途端に「違がぁあう!」と怒鳴りだしました。

どこが違うのかと聞くと、「オマエは理屈を言うからキライだ、オレは気分が悪いから帰る、明日、また来い」と言って畑からいなくなってしまう事もありました。

野菜づくりの腕は絶品でしたが、人に説明をすると言うことが出来ない「師匠」でした。

それで思ったのです。スポーツや音楽にも自分がプレーするプレー・プロと教える事を仕事にするレッスンプロがいるけれども、農業の世界も似たようなものじゃないか。

野菜づくりが上手でも教えるスキルがない人もいる。僕は初心者の人に教えるレッスンプロになろうと・・・

農家でないとなかなか農地は借りれない

農地の貸借、売買には農業委員会の承認が必要です。そして、農業委員会が農家(ないしは農業法人など)と認めた存在でないとなかなか農地を借りることはできません。

実は財産権の範囲は公共の福祉に適合するように法律でこれを定めると憲法第29条に明記されています。

自分の土地だからと言って自由に廃棄物を捨てると公共用水域(海、川、地下水など)を汚染するおそれがあるので規制されています。

自分が買ったものだから好きなように転売してよいと言うのも適正な商取引の妨げになる場合があるので規制の対象になることがあります。

農地についても、自分の(もしくは自分が借りた)土地だから好きなように使ってよいとすると、農地以外の事に使われたり、耕作放棄されたりして田園景観が荒廃する可能性があります。

農業委員や農地利用推進委員は「農地パトロール」を行い、遊休化している農地については地主側に「貸し出し」の意向を聞いたり、指導をしたりしているようです。

他方で農地を使いたいと言う人に対しては、ちゃんと利用できるのか(するのか)確認の作業をしているわけです。

「閉鎖的」と批判される事もある農業委員会制度ですが、財産権と公共の福祉のバランスと言う観点から考えてみると、ある程度、やむを得ない面はあるようです。

「実習実績」があれば、半農半Xや越境耕作も認められる

僕が農業委員会から「農家」として認められる過程でいくつか感じた事があります。

一つは、僕の「師匠」からハンコをもらってくるように言われた事です。つまり、実習実績が示せれば、必ずしも公的な「就農講座」を出ていなくても、「農家」として認められる可能性があると言う事です。

もう一つは農業とそれ以外の仕事を合わせて生計が立てられるのか聞かれた事です。

必ずしも農業だけで生計を立てる事が出来なくても、農業以外の仕事も合わせて暮らせるならよいと言う事は、実質的に半農半X的な生き方もありだと認められている事になります。

3点目は僕が都内からさいたま市内に通って耕作する(通作と言います)事が認められた事です。僕の周り、特に農家の友人は、この点を非常に心配していました。しかし、実は通作している人は他にもいるようです。

「半農半Xの農家」になりたい人は菜園起業大学を受講してください

野菜栽培基礎講習とオンライン講座「気象条件と野菜の生育」に始まる菜園起業大学の課程は、僕の経験を踏まえて半農半Xの農家になりたい方のために作った道筋です。

一連の課程を修了した方には、実習実績を証明する書類を発行します。

オンライン講座「気象条件と野菜の生育」は農家や半農半Xを志望しない人、例えば、食に関わる仕事をしているとか、野菜の相場に関わる知識を学びたいディーラーの方とかでも受講できます。

野菜栽培基礎講習は、「耕起」とか「水やり」など、個々のスキルを自分の都合に合わせて来場し学ぶ「自動車教習方式」です。

野菜を育て続けるために毎週通わなければならないと言う事はありません。

この2つの講座を修了した後、受講したい方は、年間野菜栽培実習を受講して下さい。その後、農園運営実習を受講して頂き、「農園主代行」が務まった方には実習証明を発行致します。

そこまでやろうと思わないと言う方は、野菜栽培基礎講習の後、菜園教室の会員として継続していただいても構いません。(どの講座も受講せず、最初から菜園教室の会員として参加いていただくのもアリです。)

つまり、初心者として土に親しみ、週末田舎暮らしを楽しみたい方にも、半農半Xの農家になりたい方にも、座学的な知識を身につけたいだけの方にも間口は開いています。

実は工学的な発想で作られている「たんぽぽ農法」

最後に、僕が見沼菜園クラブで実験している「たんぽぽ農法」について説明しておきます。

野菜が植えられた列を「畝(ウネ)」と呼びます。この「畝」と「畝」の間は雑草が生えやすい場所です。

そして、雑草が生えると往々にして野菜の生育が妨げられます。

なぜかと言うと同一時刻に同一空間を2つの物体が占有することは出来ないからです。

野菜が植えられた畝に、雑草が生えにくいのは、すでに野菜が植えられているため、雑草が占有できる余地が少ないからです。

畝と畝の間は野菜がないので、雑草が占有する余地があります。そして、雑草の方が野菜より生育速度が早い場合、(つまり、野菜より先に大きくなってしまう場合)、畝の上部にまで雑草の茎葉が伸びて、野菜が育つ余地がなくなるわけです。

では、畝と畝の間に「あまり大きくならない雑草」が生えていたらどうなるかと言うと、「大きくなる雑草」が生える余地がなくなります。「あまり大きくならない雑草」は畝の上部にまで茎葉を伸ばさないので野菜の生育を妨害しません。

そもそも、作業には本来作業と付帯作業があります。書類に字を書く事が本来作業の場合、鉛筆を持ってくるのは付帯作業です。鉛筆がないから買いに行くのは付帯作業のそのまた付帯作業です。

作業効率は付帯作業が少なく、本来作業だけを出来る方が良い事は当然の理屈です。

野菜栽培において、除草=草取りは付帯作業です。そこで畝間を「あまり大きくならない草」、「野菜の生育を妨害しない草」で覆ってしまえば、付帯作業を激減させる事ができるのではないかと言うのが、「たんぽぽ農法」の基本思想です。

師匠のところで修行していた頃は、ハーブを植えたらよいのではないかと考え、ハーブの苗を植えつけたら、野菜を圧倒する勢いでハーブが育ってしまった等の失敗もしました。

今は、ハーブの活用も考えますが、たんぽぽやカタバミ、オオバコ、クローバ、セリ、シソ等、畑に自然に生えてくる植物も活用しながら、畑全体の生態系を雑草も含めて管理していく事を考えています。

季節ごとにたんぽぽが咲いたり、クローバが咲いたり、シソが育ったりして、なかなか楽しい実験です。

たんぽぽ農法を実感したいと言う方も歓迎致します。

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