7月まきニンジンの収穫までの積算温度

瀰瓊際(みぬま)菜園クラブで7月まきしたニンジンは10~11月に収穫期を迎えました。

秋どり根菜類の収穫までの積算温度は、以下の表の通りです。

野菜の種類 種まき~収穫 日数 平均気温合計 最高気温合計 最低気温合計 栽培法
聖護院大根 9/3-10/24 51 1039 1234 866 黒マルチ
三浦大根 9/3-11/19 77 1359 1685 1061 黒マルチ
聖護院大根 9/9-11/11 63 1142 1413 899 黒マルチ
三浦大根 9/9-12/5 87 1350 1740 988 黒マルチ
聖護院カブ 9/3-11/11 69 1279 1569 1019 黒マルチ
聖護院カブ 9/9-12/9 91 1370 1782 988 黒マルチ
金町小カブ 10/1-12/10 71 893 1220 590 黒マルチ(11/5よりポリ保温)
ニンジン 7/20-10/10 82 2027 2374 1730 溝底播種、マルチなし

これを2016年、ニンジンを栽培した農家の方からヒアリングした結果と比較してみると、

2月まき6月どりニンジン 黒マルチ使用 最高温度の積算 約2500℃
5月まき8-9月どりニンジン マルチ使用せず 最高温度の積算 約3000-3100℃

となっています。

栽培時季やマルチの使用の有無も違いますが、
こうした様々な時季・栽培方法でのニンジンの生育データが蓄積していく事によって、

ニンジンの周年栽培(年間を通じて、栽培・収穫する)方法が見えてくるかもしれません。

カブの春まき品種を考える(その2)

カブの春まき品種についての考察を続けます。

山梨県果樹・6次産業振興課の資料
https://www.pref.yamanashi.jp/kaju/documents/kabu_1.pdf

によると、

春まきには
「生育初期の低温でとう立ちしやすいため、晩抽性の品種を用います。」

とあり、

やはり、春まきに向くのは、抽だい(ツボミをつけること、トウ立ちとも言います)が遅い品種だと
されています。

種苗会社である「武蔵野種苗」の情報誌には、
八王子の事例として、
http://www.musaseed.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/09/no36_santi_01.pdf
「冬場は主に『CR雪峰』(武蔵野交配)を播種しますが、3月上旬からは『白寿』(武蔵野交配)、4月中旬から『碧
寿』(武蔵野交配)となります」

と記載されています。

カブの産地として有名な柏市についてのレポートでも、
https://www.pref.chiba.lg.jp/ap-toukatsu/toukatsu/documents/kokabu.pdf

春どり種として、
「CR白涼、CR雪峰など
万寿、小雪丸など」

と書かれており、

どうやら、各地で評価を受けている春まき品種は、
CR白涼、CR雪峰であることがわかります。

この他、
例えば、
種苗店のウェブページ
http://tane.jp/akiyasai/kabu/kabu.htm

では、
春まき種として、
早生今市小カブ
みやま早生小カブ
理想覆下小カブ
理想金町小カブ

などが掲載されています。

また、タキイの「スワン」については、
秋まき種として紹介されていますが、

菜園クラブで、春まきして成功した経験があります。
スワンについては、他の農家の方も
割りと年中安定して育ってくれると言う評価もあります。

2018年は、これらの品種の比較栽培をしてみたいと思います。

カブの品種を考える(春まき編 その1)

カブはかなり古くから日本に伝来した野菜で、
様々な品種があります。

もともと秋まきが主だったようですが、
現在では、周年栽培と言って、
年間を通じて栽培・収穫ができるようになってきているようです。

さて、今回は、春まきに適した品種と言うものを考えてみたいと
思います。

熊本県野菜振興協会の「熊本のやさい 耕種基準」
http://www.k-engei.net/contents/koushu_standard/65%E3%82%AB%E3%83%96%EF%BC%88%E5%91%A8%E5%B9%B4%E6%A0%BD%E5%9F%B9%EF%BC%89.pdf

によると、

「低温期を経過するので 抽だいが遅く 、 、
肥大の早い品種を使う必要がある。」

として、
「CR白涼」 「白鷹」と言った品種をあげています。

抽だいと言うのは、野菜が花のツボミをつける「トウ立ち」の事です。
カブや大根は、ツボミができると、光合成産物を地下部を太らせるために
転流するより、
花を咲かせ、種を作る方に回すようになるため、
丸く太ったカブはできにくくなります。

抽だいが遅い品種を晩抽性と言います。

冬の寒さを経験した植物は、春暖かくなってくると
花を咲かせようとする性質があることがあります。

早春まきしたカブや大根などの抽だいも、種まき~発芽期が寒いと
起きやすいと言われています。

「低温期を経過するので抽だいが遅い」品種を選ぶべきだと言うのは、
気温が低い時期に種まき~発芽したカブは
ツボミを咲かせ、地下部を太らせなくなりやすいので、
出来る限り、そういうことが起きにくい品種を選ぶべきだと言う事です。

また、光合成は気温が高い方が活発に起きます。
光合成が進みにくい低温期でも、
根が太りやすい「低温肥大性」の品種の方が
早春まきに適すると言う事になります。

ところで、早生と晩生の品種を比べてみると、
一般論としては、「早生」の方が
生長が早いので低温期でも玉を太らせそうに思えます。

しかし、早生品種は、ツボミをつけ、
花を咲かせるのも早い場合が多く、

カブの場合、「ツボミをつけるのは遅いが、
玉が太るための生長は早い」

と言う2つの性質を併せ持つ品種が
早春まきに向いていることになります。

コマツナの品種を考える(その1)

2017年9月~10月、
かわぐち菜園クラブや瀰瓊際(みぬま)菜園クラブで会員の方や自分が
育てたコマツナを見ていて、
いろいろな事を感じました。

コマツナの生長は早く8月末~9月初にまくと、
9月半ばから10月早々には収穫出来るようになります。

逆に生長が早すぎて、育ち過ぎてしまい、
食べるのに向かなくなってしまうこともありました。

プロ農家の場合、長期間、コマツナを収穫し続けるために、
早生や晩生の品種を使い分けている事もあるようです。

それで、コマツナの品種について、調べてみたのですが、

「早生」、「晩生」の品種を整理して掲載しているウェブページは
見当たりませんでした。

種苗メーカーの場合、自社で開発している品種については、
一覧が掲載されていることもありましたが、

例えば、どの品種が一番生育が早く、
どれ一番遅いのか、
一覧表になっているようなページは
見つけることができませんでした。

そこで、いろいろな情報を手がかりに、
コマツナの早生、晩生品種には、

どんな品種があるか考えてみました。

まず、「みんなの農業広場」の下記記事には、
http://www.jeinou.com/benri/garden/leaf_stem_vegetables/2009/06/241050.html

有袴種と無袴種について、
どんな品種があるか、掲載されていましたが、
早生種、晩生種については、
どんな品種があるかは、やはり掲載されていませんでした。

ただ、「品種によって葉の色に濃淡があり、一般に早生種は淡緑、中生・晩生種は濃緑です。」
との記載がありました。

次に東京都農林総合研究センターのレポートである
http://www.tokyo-aff.or.jp/center/kenkyuseika/08/pdf/h22/30_2.pdf
には、

6月23日まきのコマツナについて、
サラダ小松菜が最も早く、種まき後19日で収穫を迎え、
ついで、浜ちゃん、江戸の夏、はっけい、安藤早生、夏楽天、きよすみが21日で収穫を迎えたとの
データが記載されています。

安藤早生小松菜について、開発したみかど協和のウェブページ

安藤早生

には、「葉は柔らかく生食サラダにも適する」とあります。

どうやら、早生品種には、サラダ小松菜や安藤早生のように
葉が薄く、淡い色で、柔らかいものが多いのかもしれません。

(浜ちゃん、はっけい、夏楽天、きよすみは、必ずしも「サラダで食べられる」
事を歌っていないようです。
なお、きよすみや夏楽天は、メーカーウェブページによると
中生~晩生と書かれていました。

きよすみや夏楽天が安藤早生と同様の日数で収穫できたとするのは、
東京の6月まきのデータなので、
他の季節・地域にまいた場合、安藤早生と同様に早く採れるのかどうかは
なんとも言えません。

いずれにしても、小松菜にもいろいろな品種があり、
育つ速度にも違いがあると言うのは興味深いことだと思います。

10月まきの金町小カブ、種まきから収穫までの積算温度

野菜の種類 種まき~収穫 日数 平均気温合計 最高気温合計 最低気温合計 栽培法
聖護院大根 9/3-10/24 51 1039 1234 866 黒マルチ
三浦大根 9/3-11/19 77 1359 1685 1061 黒マルチ
聖護院大根 9/9-11/11 63 1142 1413 899 黒マルチ
三浦大根 9/9-12/5 87 1350 1740 988 黒マルチ
聖護院カブ 9/3-11/11 69 1279 1569 1019 黒マルチ
聖護院カブ 9/9-12/9 91 1370 1782 988 黒マルチ
金町小カブ 10/1-12/10 71 893 1220 590 黒マルチ(11/5よりポリ保温)

10月頃から、かわぐち菜園クラブの菜園教室では、
金町小カブの種まきを皆さんにして頂いていました。

11月頃から透明ポリのトンネルをして、
保温して頂いたりしたカブが
12月初め頃から収穫可能になってきました。

種まきから収穫までの最高気温の積算温度をみると、
約1200℃で、

途中、ポリトンネルを作らないで育てた9月まきの
聖護院大根の場合に匹敵します。

カブは小ぶりに見えますが、
生長して収穫するまでの時間は、
大根なみにかかるのでしょうか

 

聖護院カブの種まきから収穫までの積算温度、2017年9月まきの場合

大根に続いて、

カブについても種まきから収穫までの積算温度を見ていきたいと思います。

瀰瓊際(みぬま)菜園クラブで、9/3に種まきした聖護院カブは、11/11に収穫を迎え、

9/9に種まきした聖護院カブは、12/9に収穫を迎えました。

実際には、9/3まきのものは、11/11収穫時点では少し小ぶりで、

9/9まきのものは、12/9より少し前に同程度に育っていたと思います。

 

野菜の種類 種まき~収穫 日数 平均気温合計 最高気温合計 最低気温合計 栽培法
聖護院大根 9/3-10/24 51 1039 1234 866 黒マルチ
三浦大根 9/3-11/19 77 1359 1685 1061 黒マルチ
聖護院大根 9/9-11/11 63 1142 1413 899 黒マルチ
三浦大根 9/9-12/5 87 1350 1740 988 黒マルチ
聖護院カブ 9/3-11/11 69 1279 1569 1019 黒マルチ
聖護院カブ 9/9-12/9 91 1370 1782 988 黒マルチ

 

それを踏まえて上表について考察してみると、

聖護院カブの場合、だいたい最高気温の積算で1600-1700℃ぐらいで、収穫を迎えるのではないかと思います。

(なお、収穫は、根径10cm程度と、「大根並み」に大きく育ってから実施しています。)

引き続き、他の品種のカブについても見ていきたいと思います。

聖護院大根と三浦大根の収穫までの積算温度

今年9月、瀰瓊際(みぬま)菜園クラブでは、
二回に分けて、

大根の種まきをしました。

9/3と9/9。

品種は、両日とも、聖護院大根と三浦大根でした。

種まきから収穫までの日数及び積算温度を調べてみると、
以下の通りでした。

野菜の種類 種まき~収穫 日数 平均気温合計 最高気温合計 最低気温合計 栽培法
聖護院大根 9/3-10/24 51 1039 1234 866 黒マルチ
三浦大根 9/3-11/19 77 1359 1685 1061 黒マルチ
聖護院大根 9/9-11/11 63 1142 1413 899 黒マルチ
三浦大根 9/9-12/5 87 1350 1740 988 黒マルチ

 

 なお、10月後半に台風が毎週のように来ていたため、10月末は菜園の点検ができない日が続きました。
9/9まきの聖護院大根については、もっと早く収穫期を迎えていた可能性があります。

すなわち、聖護院大根はだいたい平均気温積算1000-1100℃程度、最高気温積算1200-1400℃ぐらいで
収穫期を迎えるのに対し、

三浦大根は、平均気温積算1300℃、最高気温積算1700℃ぐらいと、
聖護院大根より収穫に時間がかかっています。

また、聖護院大根、三浦大根とも、
9/9まきのものの方が9/3まきのものよりも、
種まき~収穫までの日数が10日程度多くなっています。

すなわち、9月初まきの場合、1週間、種まきが遅れると、
それだけ低温期に生長するため、
収穫も10日程度遅れたと考えることができます。

様々な秋の葉物について、収穫までの積算温度

コマツナ以外のいろいろな葉物野菜は、
収穫までにどのくらいの積算温度が必要なのでしょうか?

2017年、瀰瓊際(みぬま)菜園クラブでの栽培結果を
気象庁データベースのデータと比較してみました。

野菜の種類 種まき~収穫 日数 平均気温合計 最高気温合計 最低気温合計 栽培法
コマツナ 8/20-9/10 25 551 648 467 黒マルチ
コマツナ 9/10-10/5 25 580 695 475 黒マルチ
チンゲンサイ 9/14-10/24 40 801 959 662 黒マルチ
ミズナ 9/14-10/5 19 479 576 392 黒マルチ

コマツナは、種まき後、平均気温合計550-580℃で収穫に至っているのに
対し、チンゲンサイは800℃程度と多く、逆にミズナは約480℃と、コマツナより
100℃近く少なくなっています。

ミズナは若どり(まだ十分に生育しないで、葉が小さいうちに取ること)しても
みずみずしく、サラダなどで食べることが可能です。

逆に育ち過ぎたミズナは茎が太くなり、食べてみて「硬い」と言う印象を
受けるようになります。

一方、チンゲンサイは中国では「小白菜」と呼ばれることがあるように、
少し玉をまいた感じで収穫されます。

多少、育ち過ぎても、「玉」が少し大きくなる程度で、
食感が悪くなると言うことは少ないようです。

つまり、収穫までの生育期間同様、収穫適期も、
ミズナ < コマツナ < チンゲンサイ

の順だと言うことが言えそうです。

そう考えてみると、
ミズナはできるだけ、少量づつ、こまめにまいて、こまめに収穫した方がよく
逆にチンゲンサイは少し多めに種まきしても大丈夫だと言えるのではないでしょうか。

春作の場合にはどうなるのでしょうか。
そうした点も考えていきたいと思います。

コマツナの生育と最低気温

かわぐち菜園クラブや瀰瓊際(みぬま)菜園クラブの
2017年9月まきのコマツナの種まきから収穫までの
積算気温を
2016年7月まきの場合と比較してみたのが
下の表です。

平均気温合計 最高気温合計 最低気温合計
2017/8/20-9/10 551 648 467
2017/9/3-9/30 640 759 532
2017/9/10-10/5 580 695 475
2016/7/17-8/7 581 676 505

平均気温の積算で550-580℃前後、
最高気温の積算650-690℃前後で
あることは8-9月まきの場合でも、7月まきの場合でも
同じように見えます。

しかし、最低気温でみると、8-9月まきの場合は、種まきから収穫までの
積算気温は460-470℃前後であるのに対し、
7月まきの場合は、500℃前後と30℃以上高くなっていることが分かります。

収穫まで20-25日前後とすると、
7月まきの場合の方が、8-9月まきの場合に比べて、
一日あたり1℃以上最低気温が
高かったことになります。

最低気温を記録するのは、通常、夜間だと思われますが、
植物は、夜間、光合成はしないで呼吸のみをしています。

夜温が高いと呼吸が活発になり、
日中できた光合成産物をそれだけ多く消費してしまいます。

2016年7月まきのコマツナは葉が薄く、
食べても苦めの味でした。

これは、あまり暑い時期にコマツナを育てようとすると、
葉に光合成産物が蓄積されず、
糖度も下がってしまうためにないかと思われます。

8-9月まきコマツナ、収穫までの積算温度

2017年、かわぐち菜園クラブAファームと瀰瓊際(みぬま)菜園クラブの
8月-9月まきコマツナについて、

種まきから収穫可能になったと確認できた日まで、
さいたま地方の気象データを気象庁のデータベースからダウンロードしてみました。

そして、平均気温、最高気温、最低気温それぞれについての積算温度をまとめてみました。

種まき日-収穫可能と確認できた日 平均気温合計 最高気温合計 最低気温合計
8/20-9/10 551 648 467
9/3-9/30 640 759 532
9/10-10/5 580 695 475

以上のように、種まき日から収穫可能と確認できるまで
平均気温の合計は、550-650℃ぐらいになっています。

他の季節、他の地域でも、コマツナは平均気温合計が550-650℃ぐらいで
収穫できるのかどうか、

この点を調べていく事で、様々な季節や地域における
コマツナの生育予測をしていく事が可能になるのではないかと思われます。

かわぐち&瀰瓊際(みぬま)菜園クラブでの
8月まきと9月まきのコマツナ、種まきから収穫までの日数

気象データダウンロード元
http://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php