育てた野菜をクレープ&コールドプレスに

今日は、野菜栽培基礎セミナーの補講でした。

出席されたのは、先日、菜園起業入門セミナーを受講された後、
菜園コーディネーター講座を受講するようになった女性の方。

先日、講座の一部を欠席せざる得なかったとのことで、
本日、補講を行いました。

補講に先立って、食関連の事業をしたいとおっしゃられていたので、
やりたい事業の内容をお伺い致しました。

経営の基礎知識

現在、ご自宅近くに菜園を確保、
そこで育てたお野菜を直売所に持ち込むことも
認められるようになったとのこと。

そして、お友達がカフェをやっていらして、
そこでお野菜のクレープを作って下さるので、
そのクレープを移動販売で売りたい、

また、お野菜のコールドプレスも販売したいとの
ことでした。

そこで、実際に和菓子屋さんが行っている
オシャレな自転車を使った移動販売の実例などを
ご説明した後、

事業の経費には、

そうした自転車やコールドプレスの機械を買う「初期費用」と
お友達にお支払いする工賃やクレープの容器代、消耗品等の
「運転費用」があり、

どういう風に処理していけばよいか、
税務署には、どう申告するか

と言った実務面のお話をしました。

菜園クラブでは、地元野菜宅配サービス・野菜のマイクロマーケット
を運営しており、

マルシェなどの販売イベントの経験も蓄積されています。

そうした場合に使っている
「事業計画書」や「実績管理票」、「損益計算書」などの
会計フォームを

G-Suitesの表計算アプリで作っていますが、
各フォームはクラウド上で共有可能です。

そこで、会計フォームを、今回の受講生の方に
シェアすることをご提案しました。

ご自分の事例に合わせて、事業計画書のフォームを埋めて頂いた後、
菜園クラブからアドバイスを行い、

その上で税務署にもご相談に行っていただく事を
ご提案致しました。

2017年は、菜園クラブのノウハウをクラウドを使って、
システム輸出していく企画も進みそうです。

民間版市民農園の開設に成功

2011年2月に講座を受講して頂いたのは、
埼玉県内の不動産屋さんの社員の方でした。

その不動産屋さんで地元の遊休農地を活用して
市民農園を作りたいとお考えとの事。

受講して頂いた後も、受講生の方を菜園クラブでサポート。

行政との折衝にも立ち会い、
遂に、「特定農地貸付」と言う方式で
市民農園の開設に成功しました。

同方式を用いた民間版市民農園としては、
埼玉県初の事例となりました。

菜園起業大学一期生、1万4千平米を耕作

菜園起業大学一期生からメールが来ました。

なんと、高齢化した農家が手が回らない農地

米10,000平米
米10反
野菜4,000平米
野菜4反
梨2,000平米
梨2反
を耕しているとのこと。

週末農業の会を作って、その会で耕しているのだそうです。

一期生エライ!

よく頑張った!

菜園起業大学、
こういう人を育てていきたいですね。

5)菜園のデザインも工夫してみよう

菜園をどう使っていくか?、菜園内のどこに何を植え、休憩スペース等を配置するのかと言った菜園のデザインも菜園起業の大事な要素です。
菜園デザインは、菜園の大きさ、平坦な場所か、傾斜地か、真四角なのか、不定形なのかにもよって変わってきますが、基本は菜園の計測です。
ネットで航空写真を出して、作画ソフトにコピーし、菜園の外周に沿って線を引きましょう。
同時に「手巻き式」のメジャー(自動巻取りタイプは、土ぼこりが入ってすぐにダメになってしまいます)を使う等して、実地でも計測を行い、航空写真から求めたものと突き合わせて、菜園の姿を捉えましょう。
人通りがある道路に近い場所は、「犬の落し物」をされることも多いため、口に入るものを育てるには不向きです。花壇などにしておくと、周囲の方の目もなごませるとともに、侵入防止にも役立ちます。
菜園がかなり広く、全部に野菜を植えると持て余してしまうかも知れないと思ったら、畝と畝の間を通常の2倍に広げ、畝間にハーブやお花、雑穀などを植えると良いでしょう。
反対に狭い場所では、「混作、混植」を上手に利用しましょう。
例えば、春まきのトウモロコシは幅60センチの平たい畝の両側に30センチ間隔で種まきします。
2列のトウモロコシの間に、小松菜やホウレンソウなどの葉物をまいておくと、先に葉物が収穫できるようになり、後からトウモロコシが育っていきます。トウモロコシの種と種の間には、インゲンの種まきをしておくと、トウモロコシの茎を「支柱」代わりにして、インゲンが育っていきます。ほぼ同時期にカボチャやスイカ等を種まきしておいても良いでしょう。

トウモロコシやインゲンが収穫出来たら、その後に大根の種まきが可能です。

5月にナスやトマトを植えたら、株元にネギの苗を植えておくと、ナス・トマトの収穫が終わった後、
秋から冬にかけてネギの収穫が可能になります。
こうした混作・混植技術を上手に使うと、狭いスペースでも多くの種類のお野菜を育てることが可能になってきます。


4)土地が手に入ったら…

憧れの農地が確保出来たら、利用計画や経営計画を考えてみましょう。
菜園のどこにどんなものを植えるか、どうやって販売していくか?、農業体験企画などの催しをどうするか?…あれこれとアイデアが広がる楽しいひと時です。
利用計画は、いつから耕し始められるか、スタートの時季によっても異なってきます。
南関東の場合、植付期間は、バレンタインデーからハロウィーンまでの間です。
2~10月の間であれば、その時季からのスタートが可能です。ハロウィーンを過ぎたら、冬の間に、除草や耕耘などをしておいて、来年のバレンタインデーからのスタートすると考えましょう。
比較的、いつ種まきしても失敗しにくいのが大根です。ただ、夏場は発芽直後に虫に食べられやすいので、防虫ネットを張って、裾まで埋めておくようにしましょう。(発芽後に、ヨトウムシと言うイモムシが地面を掘り進んでくることがあるので、苗についていたら、手で取るようにしましょう。)
葉物類は2-4月、9-10月に種まき可能です。5月スタートの場合は、ナス、トマト、キュウリ等が植付可能になります。サトイモやサツマイモも植えられるでしょう。
野菜の種類にもよりますが、だいたい2-3ヶ月後には収穫が可能になることが多いので、バザー等で販売することを考えてみましょう。
また、お友達を呼んで菜園パーティを開くなど、農業体験の企画も良いと思います。菜園パーティに来た方で、ご自分もやってみたいと言う人がいたら、会員制度などの枠組みを作って、会員になって頂くことを考えるようにしましょう。


ジャガイモ、ニンジン、ブロッコリーなどは、2月植えで7月取りできるので、「菜園カレーパーティ」が出来ます。

3)田舎ぐらしの始め方

菜園起業の受講生で「田舎暮らし」に成功した例をみると、いくつかのパターンがあるようです。
都市と農村を往復する「二地域居住型」で活動している方の場合、栽培実習などに通ううち、地元の人と仲良くなって、農家の廃屋や遊休農地を借りれるようになったと言う例が多いようです。
そうした拠点を確保した後は、地元の野菜を都内に持ってきてマルシェなどを行う一方、東京から地元に人を連れていって農業体験をしてもらう「農村旅行」の活動を続けていらっしゃる方が多いようです。
中には、本当に今までの仕事を辞め、野菜の販売やお料理のお店を開く方も出てきています。
菜園クラブに実習に来ているうちに、それが知り合いの方と話の「ネタ」になって発展したと言う方も多くみかけます。「地元定住型」の場合、多くは、東京から2~3時間程度の距離で成功しているようです。
週末農業の会を作り、高齢者の方が耕作できなくなった水田1万平米、野菜4000平米、梨2000平米を耕している、お知り合いの方から地元のお寺の総代につながり縁談がまとまったとか、田舎の不動産を確保出来たと言う例もあります。
やや遠方の事例では、ご実家が仙台にあり、お仕事でも都内と仙台を頻繁に往復する事が多い方で、ご実家の周りの畑や竹林をフィールドに活動されている例があります。また、夜行バスで新潟方面に通い農作業をしているとか、福島の農業グループを前日収穫したお野菜を翌日・都内の朝市で販売している例も見られます。
こうした「夜行バス・トラック日帰り圏内地域」の場合、年に数回、田植えや除草、稲刈りなどに通う「稲作ツアー」などの企画づくりに成功していることもあります。
いずれの例でも、地方・都内、両方の関係者が比較的頻繁に往復できて、相互に人間関係が広がりやすい事がわかります。
300km以上圏では、事例も少ないですし、仮に田舎暮らしそのものは出来たとしても、元々住んでいた場所のご家族やご友人、職場のご関係者などとも連絡が取りにくく、地域と都市を結んでの活動が広がりにくいとも考えられます。
仙台の方の場合、東京300-400km圏ですが、ご実家やお仕事の関係が既にあった事が基盤になっているのでしょう。全くゼロベースから考えるとしたら、200km以内の地域で交流を積み上げる方が現実的と思われます。
交流を継続し、人間関係が広がってくれば、意外と簡単に「田舎暮らし」も実現していくかもしれません。


田舎暮らし…200km圏ぐらいで交流を積み上げる方が現実的

2)現金収入を得るための仕事をどう見つけるか?

菜園起業相談でアドバイスする事が多いのが、「アルバイト」についてのお話です。
実際、将来は農業だけで生活するようになりたいけれども、当面は週3-4日程度は働かないと生活出来ないので、残りの時間で畑を耕しているとか、平日働いて土日に農業実習に通うと言った生活を続けていらっしゃる方も出始めています。
「菜園起業&半農生活」と両立しながら、一定の現金収入も確保するのに、どんな仕事が向いているかは、その方のスキルや生活の状況によって違い一概に言えません。また「体力」もけっこう重要な要素で、身体的に「続けられるペース」の仕事を選ぶ必要があります。
ただ、総じて言えるのは、農地があるような農村部は、近隣に工場・倉庫地帯がある事が多いと言うことです。
騒音等の問題があって、都市部に作れない工場を郊外に立地させるようになってきたとか、インターチェンジの近くに物流基地を配備する会社が増えてきた等の経緯で、農村部に工場や倉庫が建つようになってきたと思われます。
工場や倉庫が出来ると、その従業員の方々のためのお店や娯楽施設が出来る場合もあります。
こうしたお店や娯楽施設も「働く先」になり得ます。
自分が半農生活をしようとしている場所の近辺にこうした工場・倉庫地帯があるかどうか調べて、実際に見に行ってご覧になると、仕事選びに役立つかもしれません。事業場やお店に、「従業員」募集の張り紙がしてある場合もあるので、直接訪ねてみると、農地と仕事、両方が見つかる可能性もあります。
こうした場所で働くには、フォークリフトやマイクロバス、施設管理の資格等も役立ちます。
また、地元の方とお知り合いになった場合、農協や公的施設の職員の口を斡旋して頂ける事もあります。
農村部では農協や公的施設に対する信頼感が強いことも多いため、パートや嘱託であっても、こうした職場で働く事は農地の確保その他、生活全般に渡って有利に働く事があり、中には縁談が見つかったと言う例もあります。
なお、現在の職場だと半農生活との両立がしにくいと言うような場合、その仕事を辞めてしまってから次の仕事を探すよりも、現在の職業は継続しながら次を探すようにした方が良いと思われます。
半農生活と両立しやすい「次の仕事」が絶対見つかる保証はありません。無収入の状況は出来る限り避けるようにして、上手に半農半Xの状態を目指していくようにしましょう。


農村部には、工場・倉庫地帯が隣接していることが多い

1)土地の確保

年代別の「男子自営農業者数」統計を見ると、1989年に50歳代以下の方が激減している事がわかります。
つまり、1989年に日本の農業の担い手はほとんど60歳代以上になってしまったと見ることが出来るわけです。
2017年現在、1989年時点で60歳だった方は88歳になります。2019年になれば、全員90歳を迎えになります。
このように、日本の農業の担い手は極度に高齢化しており、農地を耕すことが出来ない方が非常に増えています。
他方で、日本の人口は減り始めており、既に全国の世帯数を上回る住宅が供給されている「住宅過剰社会」になっています。全国の市街地地価指数は、バブルが崩壊した1994年を境に下落に転じ、日本列島改造論が始まった1972年以前のレベルに戻っています。
このため、売るにも売れないし、自分でも活用出来ない農地をどうにかしたいと考える農地所有者の方は増えつつあります。
ただ、農家の方は不動産会社ではないので、サービスとして土地を売ったり貸したりする動機は持ちあわせていません。
ですから「遊んでいる土地だから使わせてくれてもいいじゃないか」と言うような言い方は、絶対に禁物です。農地を活用できずに困っていると言うニーズに応えながら、礼儀正しく「使わせて頂けると有り難いのですが」とお願いしていく姿勢が大切です。
農地の確保には、地元の方と仲良くなりながら、地道に人間関係を作っていく事が近道となります。
なお、近年の法改正で「利用権の設定」や「解除条件付き貸借」等、菜園起業でも使える可能性がある制度が生まれてきています。
地元の方との人間関係づくりと合わせて法制度の活用を考えていけば、菜園起業のための農地確保にもつながっていくことでしょう。
菜園起業相談でも制度の利用についてアドバイスを差し上げています。


Ⅵ.半農半Xのライフスタイル

田舎の土地や自給できる食物を確保しながら、一定の現金収入も実現する菜園起業は、半農半Xで生きていくライフスタイルでもあります。
つまり、個人の生活が継続出来ることが、菜園起業の「成功」だとも言えます。
菜園起業を成功させるには、農地を確保するとともに、野菜の販売などだけでは足りない現金収入を確保するために「アルバイト」を見つける事なども必要になってきます。
セミナーの最後にあたって、こうした「田舎暮らしの実際知識」についてご説明致します。


楽しみながら田園景観保全に貢献出来る菜園起業&半農生活

 

6)経営の方法も覚えておこう

ところで、菜園起業も「起業」であり、「事業」なので、事業経営の方法も少しは覚えておくようにしましょう。
実際にあったお話なのですが、「野菜がよく売れているのに貯金が減っているのはなぜだろう」と言った人がいました。
「売上」から「仕入れ」等を引いた残りが「粗利」で、そこから更に人件費等を引いて「利益」が出ます。
「粗利」や「利益」が出ていれば、手持ち現金が増えていくかと言うとそうはなりません。
例えば、先に農家さんにお金を払って野菜を仕入れ、後から売上分の現金が入ってくると言うようなケースでは、差し当たりは、手持ち現金が減っていくので、貯金を取り崩す場合もあります。
このような、その時点での現金の出入りの管理を「資金繰り」と言います。
どんなに「売上」や「利益」があっても、先払いしなければならない経費が余りにも多い場合には、「資金繰り」は苦しくなります。
個人の貯金を取り崩して、資金繰りをする場合、売上金の回収に失敗すると、ご自身の生活にも影響が出てしまいます。
また、経費には、地代や光熱費等のように、売上が上がっても上がらなくても負担しなければならない「固定費」と、仕入れ代金のように売上に応じて多くなる「変動費」があります。
固定費を賄うだけの利益が出ないうちは、事業は赤字ですが、ある程度以上に売上があがってくると、固定費と売上に応じて生じた変動費の両方を賄って利益が出る「黒字」に転換します。
赤字から黒字に変わるところを「損益分岐点」と言い、事業を継続していくためには、損益分岐点以上の売上を目標にする必要があります。
半農生活を社会的な活動として行えれば、あまりお金が儲からなくてもよいと言う方も多いと思いますが、「持ち出し」の負担が大きすぎると、活動が継続していきません。
経営に関する知識もある程度は、身につけて、上手な運営が出来るようになっていきましょう。


菜園起業の九九