取れるものはしっかり取る

「駒得は裏切らない」と言うのは、将棋の森下卓九段の言葉です。

タダで相手の駒を取るとか、「歩」みたいな価値の低い駒と「飛車」のような価値が高い駒を交換するのが、「駒得」です。

将棋は一度に1手づつ指せません。ですから、駒を取る場合、「取りに行く手」、「取る手」と、最低2手がかかります。

場合によっては、駒を取った後の「形」が良くない、元の形に戻る必要があると言う事もあるでしょう。すると、「駒を取る」ためには、元に戻る手を入れて、3手以上かかる事もあるわけです。

ですから、価値の高い駒を取って得をしたと言っても、何の代償もないと言うわけではありません。

特に2手も3手もかけている間に、自分の王将が詰んでしまうと言うのでは、意味がありません。

しかし、即座に自分が詰んでしまう可能性がない場合は、手数がかかっても、「形」が悪くなっても、実際に駒を取れば、その駒を盤面に打って使えます。「守り」でも「攻め」でも好きな事に使える駒を持てれば、選択肢が増します。

選択できるのが「この手しかない」と言う状態と、いろいろ選べると言う状態では、「選べる」状態の方がより有効な手を指せる可能性があると思われます。

つまり、選択肢が多い方が「勝ちやすい」わけです。

それで、森下九段は「駒得は裏切らない」と述べたのでしょう。

撤退戦・再建戦でも同じ事が言えます。

生命が助かる事を最優先にして取りあえず逃げ延びる事を考えている時に、他のものを残そうとするのは、間違いです。

最悪の時のここまで後退すると言う「最低防衛線」を決める

災害時に荷物を取りに戻って、生命を失うのと同じです。

しかし、逃げ遅れる可能性がないなら、残せるものは残す、取れるものは取ると言うのが正しい選択です。

みっともないとか浅ましいとか、恥ずかしいとか、そういう見栄は捨てましょう。撤退戦・再建戦の時は、なりふり構わず取れるものは取って、将来の再建・再開のために蓄えておきましょう。

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