東日本平野部では、紅葉の見頃は11月下旬から12月上・中旬と言われています。
12月は「冬」で、紅葉は「秋」と言うように考えていますが、実際には、「冬」の12月前半、まだ紅葉は見頃な事が多いのです。
(萬葉集釋注;伊藤博・集英社 によると、一年を春・夏・秋・冬に分けるのは、当時、中国から伝わってきた文化との事。
「四季」と言う考え方は、必ずしも自然現象の成り行きではなく、文化的な所産である事を理解しておく事は、時季に応じた野菜の生育や栽培を考える上でも必要と思われます。
さて、さいたま市の2021年12月は最高気温積算値は、暖かい方から数えて、1980年以来第8位、最低気温積算値は寒い方から数えて24位でした。
例年に比べて暖かい時は多かったと言えますが、冷え込む時が少なかったとは言えないようです。

例年の値と比較してみると、12月前半は、最低気温が平年値(1980年以来の各日付毎の平均値)を上回っています。18日頃から平年値を下回る日が増えてきました。
12月の後半は例年より冷え込む日が多かったようです。

1980年以来の気象庁の観測データによると、さいたま市では、二十四節季の大雪(12月7日頃)前後から最高気温20℃以上の日はほとんどなくなります。
最高気温15℃以上の日も大雪前後から日付ごとの出現日数が10日を下回るようになります。12/14を過ぎると5日を下回ります。冬至、更に12/27を過ぎると2-3日程度の出現日数となり、最高気温10℃以下の日の出現頻度が増えてきます。

一方、最低気温0℃以下の日は、大雪以降、出現日数10日を超えるようになります。12/14以降は15日以上となり、20日以上となることもあるようです。
冬至以降はほぼ20日以上、28日頃からは25日以上となります。
クリスマスを過ぎて12/27-28頃になると、最低気温4℃以下の日の出現日数も増えてきます。
12月は1週毎に寒さが厳しくなっていく時季だと見る事ができます。
野菜の生育や霜害と言う面から見ると、最低気温が0℃以下になったら育ちにくい、霜でやられるとは限りません。
日中10-15℃程度の気温があれば、そこそこ育ちます。
畑で見ていると、霜害を受けるのは、最低気温-5℃を下回るような状態の事が多いようです。
そう考えると、紅葉の見頃の時季はあまり霜害は起きないと考えてもよいかもしれません。
「紅葉が散ったら霜害に注意」と考えて、冬野菜の保温に気を遣うと言うように、「紅葉」を農作業の目安にしたらどうでしょうか。