極寒日が増えた2010年代と最頻日近くに極寒日となった「2023年1月」

2023年1月の最高気温積算値は、309℃でした。1980年以来の44年間で暖かい方から数えて第10位です。

最低気温積算値は-27℃、暖かい方から数えて第13位でした。 

この2つの順位だけからは、2023年1月は例年より暖かかったと考えたくなります。

しかし、いろいろなデータを見ていくと、必ずしもそうは言えないような気もします。

1月の最高気温・最低気温の積算値の5年間移動平均値を見ると、1980年代は最高気温については250℃以下の時もありました。しかし、1990年代以降は250℃台以下になることはなく、250℃-300℃の間で推移しています。

そして、2010年台半ば以降は300℃以上の水準となっています。

中長期傾向として、最高気温の水準は徐々に上昇し、2020年代は1980年代に比べ、おおむね1日について1℃ぐらい高い状態になっている模様です。

一方、最低気温の水準については必ずしも「温暖化」しているとは言えないようです。

最低気温積算値5年間移動平均は、1980年代には-50℃未満でした。1990年代に入り、-50℃を上回るようになり、以後、0℃~-50℃の間で変動しています。

2010年代には-50℃を下回ることもありました。

つまり、最低気温については1980年代よりは高めの水準になっているとは言え、1990年代以降は一定の幅の中に収まっていて、中長期の上昇傾向は認められないと言えます。

日最低気温が一定以下になった日が1月に出現した頻度

日最低気温が一定以下になった日が1月に出現した頻度を見ると、1980-1989年には、-7℃以下の日が40%でした。1990-1999年、2000-2009年、2010-2019年は10%でした。

しかし、2020-2023年は75%となっています。

-6℃以下の日は、1980-1989 60%、1990-1999と2000-2009は20%でしたが、2010-2019は40%、2020-2023は75%です。

つまり、日最低気温が-6℃~-7℃以下に冷え込む日の頻度は2010年以降、むしろ増えていると言えるのです。

1980-2023年までの間で、日最低気温が-4℃を下回る日の日数が最も多くなるのは、大寒と立春の中間点に当たる1/27です。

日最低気温が-4℃なる日の出現日数は、大寒以降、一時減少した後、1/22から増加し、1/27に最大となります。

2023年は、1/26に-7.1℃と、2023年1月で最も低い日最低気温を記録しました。

なお、1月の最も低い最低気温を記録する日は、年によって違い、かなりバラツキが見られます。

今年はたまたま-4℃最頻日付近で「最低の最低気温」を記録する形になったようです。

野菜の生長との関係で言えば、最高気温も重要です。

平年値(1980-2023平均)で見ると、1/25頃から日最高気温は上昇に転じ、1/27-1/28以降、8-9℃と10℃近い水準となります。10℃を超える日もしばしば出てくるでしょう。

日本の植物の多くは5℃以上で光合成を行うようになるようです。ほとんどの野菜も同様です。

光合成は午前中に行われることが多く、日最高気温は12-14時頃に記録される事が多い事を考えると、日最高気温10℃近辺ぐらいなら、光合成が行われ、ゆっくりではあっても野菜の生長が進むと見られます。

他方、日最低気温の平年値は、1/26に最低となり、1/28頃から-4℃以下になる頻度が減少します。

畑の野菜の様子を見ていると、最低気温-1℃~-2℃レベルで霜害を受ける野菜(チンゲンサイなど)、-3℃~-4℃レベルで受けやすい野菜(小松菜など)、-6℃~-7℃レベルでも比較的大丈夫な野菜(ホウレンソウなど)があるようです。

また、菜の花のように、外葉は霜害にあっていても、「可食部」となるツボミ部分は最低気温-7℃以下の日の翌日でも収穫可能な野菜があります。

このような事を考え合わせると、

1)1/25-1/27頃まで、野菜が霜害を受ける可能性が高い日がある

2)1/28頃から野菜の種類にも霜害のリスクは減少する

3)1/25-1/27を過ぎたあたりから最高気温10℃もしくはその近辺の日が増えだし、ゆっくりではあっても野菜の生長が期待できるようになる

4)その年の「最低レベル」の「最低気温」が記録されるのは、年によって違い、-4℃~-7℃以下のレベルになる場合もあるため、霜害については、その年の予報に注目する必要がある

と言ったことが言えそうです。

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