なぜ、日射しが一番強い時期と気温が一番高い時期がずれるのか、考えてみましょう。
温度が高い物体と低い物体が向き合うと「輻射」と言う現象が起こります。
例えば、太陽と地表では、太陽の方が温度が高いので地表に向かって、太陽の熱が移動します。これが輻射です。
輻射では、中間にある空気は暖められず、地面や海面、人体などの「物体」に直接熱が到達します。
いったん熱を受け取った地面から空気に熱が伝わって、気温が上がります。
ですから、輻射が盛んに起きている時期と気温があがる時期にはズレが生じるのです。
太陽の高度が一番高いのは、6月22日頃の夏至です。
しかし、夏至の頃は、日本付近は梅雨前線の雲に覆われているため、日射しも遮られます。
この結果、輻射も弱くなります。
梅雨明けを迎えた7月22日頃の大暑になると、まだ太陽高度は高く、遮る梅雨前線の雲もないので、一年で一番日射しが強い時期となります。
この時期は輻射も強くなる時季です。
8月7日頃の立秋になると、太陽高度は、大暑の時期に比べて下がり、日射しも輻射も弱まります。
しかし、それまでに熱を受け取った地面や海面から大気に熱が伝わりだすので、7月より8月の方が気温は高くなりがちです。
このように、地上に注ぐ太陽からのエネルギーを元に生じている物質やエネルギーの移動によって
多彩な季節変化が生じています。
こうした太陽からのエネルギーを元に物質やエネルギーがどう移動しているかを理解することは、
一日の菜園作業スケジュール、マルチやトンネルを使った保温、霜など、菜園の作業の意味や現象を理解する上でとても大切です。