よく「日本には四季がある」と言う人がいます。
こういう事を言う人は、おそらく、多彩な季節の存在を言いたいのだと思います。
そして、日本には多様な季節があり、周っている事には間違いがありません。
しかし、萬葉集釋註(伊藤博 集英社)には、
「一年を四時としてとらえ、1-3月を春、4-6月を夏、7-9月を秋、10-12月を冬と
人為によって規定してしまう中国の暦法」が
「天武~持統朝の頃に画期的な厚みと深みをもってしみこんだ」
とあります。
(ここで言う天武~持統朝の頃とは、「倭国」の時代が終わり
律令国家の「日本」が成立した飛鳥時代末期、
7世紀末~8世紀初めの時期に相当します。)
おそらく、東西南北、春夏秋冬のように、
空間・時間を4つの分けると言う発想は、
陰陽道の占いの思想から来ているものと思われます。
もちろん、暦を持たなかった原始人でも
暑い時季と寒い時季があることは
感じていたと思います。
しかし、季節の変化は、
地球が太陽の周りを回っている事から生じており、
季節は、徐々に移り変わっていくものです。
暦を作り、「いつからいつまでが春」と言うように
「線」が引くと言う発想自体、
「人為的(人間が作り出した)」なもので、
元々、自然に存在したものではありません。
また、春夏秋冬と一年を四季に分ける事で
日本の多様な季節変化をとらえ、表現することは難しいと思われます。
二十四節季、七十二候も「暦の上に線を引いた」と言う点では、
四季と変わりありませんが、
日本の季節変化をとらえ、表現する点では、
四季よりも優っていると思われます。
菜園の野菜栽培のために、季節変化を理解しようとする場合には、
四季よりも二十四節季や七十二候を用いるようにしましょう。