カブはかなり古くから日本に伝来した野菜で、
様々な品種があります。
もともと秋まきが主だったようですが、
現在では、周年栽培と言って、
年間を通じて栽培・収穫ができるようになってきているようです。
さて、今回は、春まきに適した品種と言うものを考えてみたいと
思います。
熊本県野菜振興協会の「熊本のやさい 耕種基準」
http://www.k-engei.net/contents/koushu_standard/65%E3%82%AB%E3%83%96%EF%BC%88%E5%91%A8%E5%B9%B4%E6%A0%BD%E5%9F%B9%EF%BC%89.pdf
によると、
「低温期を経過するので 抽だいが遅く 、 、
肥大の早い品種を使う必要がある。」
として、
「CR白涼」 「白鷹」と言った品種をあげています。
抽だいと言うのは、野菜が花のツボミをつける「トウ立ち」の事です。
カブや大根は、ツボミができると、光合成産物を地下部を太らせるために
転流するより、
花を咲かせ、種を作る方に回すようになるため、
丸く太ったカブはできにくくなります。
抽だいが遅い品種を晩抽性と言います。
冬の寒さを経験した植物は、春暖かくなってくると
花を咲かせようとする性質があることがあります。
早春まきしたカブや大根などの抽だいも、種まき~発芽期が寒いと
起きやすいと言われています。
「低温期を経過するので抽だいが遅い」品種を選ぶべきだと言うのは、
気温が低い時期に種まき~発芽したカブは
ツボミを咲かせ、地下部を太らせなくなりやすいので、
出来る限り、そういうことが起きにくい品種を選ぶべきだと言う事です。
また、光合成は気温が高い方が活発に起きます。
光合成が進みにくい低温期でも、
根が太りやすい「低温肥大性」の品種の方が
早春まきに適すると言う事になります。
ところで、早生と晩生の品種を比べてみると、
一般論としては、「早生」の方が
生長が早いので低温期でも玉を太らせそうに思えます。
しかし、早生品種は、ツボミをつけ、
花を咲かせるのも早い場合が多く、
カブの場合、「ツボミをつけるのは遅いが、
玉が太るための生長は早い」
と言う2つの性質を併せ持つ品種が
早春まきに向いていることになります。