前回の記事、2020年3月以降、価格上昇気味のニンジン
で、今年の春から東京23区内のニンジン小売価格が高値で推移している事を報告しました。
では、その原因は何なのでしょうか。
原因を考えていく手がかりとして、ニンジンの供給元では、いつ生産や収穫が行われているかを考えてみました。
前回の記事でも述べたように東京23区内で売られているニンジンは、4-5月は徳島、6-7月は千葉、8-11月は北海道、12-3月は千葉が最多産地となっています。
実は、千葉・徳島・北海道は、ニンジンの三大産地とされ、全国的に見てもニンジン生産が盛んな地域です。
野菜には栽培暦、つまり、いつ頃、種まきや植え付けをして、いつ頃収穫するかと言う年間スケジュールがあります。ある地域のある野菜の栽培暦は、その地域のJAや農業試験場等が出している情報で確認することが出来ます。
千葉・徳島・北海道のニンジン栽培暦をみてみると、千葉では秋冬ニンジンと春夏ニンジンがあることがわかりました。秋冬ニンジンは8月頃に種まきをして11月頃から収穫が始まり、3月頃まで供給が続きます。
春夏ニンジンは、トンネル栽培の場合は12月、ベタがけ栽培の場合は2月頃から種まきをして、5-7月にかけて収穫をしています。
ですから千葉産ニンジンは8月から秋にかけて、供給できない時季が出てきますが、ここを埋めているのが北海道産ニンジンです。
北海道のニンジン栽培暦では、4-7月頃に種まきし、7-11月にかけて収穫が行われています。
ちょうど、千葉産ニンジンが供給されにくい夏場~秋にかけての時季に供給出来ているのが北海道産と言うわけです。
しかし、千葉産でも北海道産でも埋められない時季が春です。千葉産の秋冬ニンジンは3月には供給が終わってしまいます。次に千葉産が出てくるのは、春夏ニンジンが採れる5月以降のため、4月には千葉産の供給はしにくい事になります。
また、北海道は11月にニンジンの供給が終わった後は、凍てつく冬場を迎えるので春ニンジンの種まきはできません。
こうして、千葉からも北海道からも春にはニンジンが供給できない時季が生まれる事になります。この時季を埋めているのが徳島産ニンジンです。
徳島では、10-12月にかけてニンジンの種まきが行われ、翌3-5月に出荷されています。
このように、複数の産地が季節ごとに交代しながら野菜が供給されていくことを「産地リレー」と呼んでいます。
野菜の価格変動を理解していくには、各産地の栽培暦と産地リレーの状況を理解しておく事が必要なわけです。