僕が自動車の運転免許を取ったのは、20代の頃です。
環境計量士の国家資格を取った後、
実際にサンプリング(分析用に排水や廃ガスを採取すること)を行うために
現場まで車で行く必要があったので、
自動車教習所に通いました。
野菜の配達や耕作放棄地の開墾に必要があったので、
50代になってから、AT限定の小型自動二輪や小型建設用機械の
講習に行きました。
バイクやバックホーの講習を受けてみて、
20代の時に通った自動車教習の記憶も蘇り、
こうした運転講習では、「反復学習」で操作を覚えさせる機会が
受講者に提供されているなぁと感じました。
運転講習は、まさに「反復学習」で構成されています。
坂道発進とかクランクとか、各種の基本操作を繰り返し、繰り返しやって
身につけさせるわけです。
農業の年間実習でも、「種まき」なら「種まき」と言う基本操作を
年に何回かは体験できます。
しかし、これまで述べてきたように、反復学習としては不十分です。
なぜ不十分になってしまうのでしょうか。
それは、受講者に「心構え」を作らせないからです。
運転講習の場合、受講者に「今日のテーマは『坂道発進』です」と言うように
覚えるべき基本操作を予め通告しています。
この通告を受けて、受講者は、「坂道発進」を覚えようと自覚するわけです。
農業の年間実習の場合、「今日のテーマは『ニンジンの種まき』です」と言った感じで受講者に伝えています。
この「ニンジンの」が余計なのです。
「ニンジンの種まき」と言うテーマを聞いた受講者は、「ニンジン」と言う野菜の種類に反応してしまい、
「ニンジンどうやって育てるんだろう」と思いがちになります。
だから、「種まき」と言う基本操作を覚えると言うモードにならないわけです。
ニンジンでもホウレンソウでもサニーレタスでもダイコンでも、
とにかく、「種まき」と言う基本操作が持っている共通点に着目して、
その基本操作をマスターさせるためには、
テーマは、「ニンジンの種まき」ではなく、「種まき」と伝える必要があるのです。