撤退戦・再建戦では、取れるものは取り、なりふり構わず行動すべきだと述べてきました。
矛盾するようですが、なりふり構わずと言っても、その行動がやりたい事の実現を妨げるなら、それはすべきではありません。
僕が農業の仕事を始めた直後、収益はあまり上がらず、生活も苦しい状態でした。
少しアルバイトをしないとダメかなと思っている僕の前に人材紹介会社の方が水質調査の仕事があると言ってきました。
僕は環境計量士と言う公害測定の国家資格を持っています。その資格を活かして働ける場があると言うのです。
その仕事は、これまでにない新しいビジネスモデルで水質浄化に取り組む会社のものでした。
僕は人材紹介会社の営業マンの方に、農業の仕事もあるので無理をしなくてよいと伝えたつもりだったのですが、「どんな商品でも売ってくるのが営業です」と言われました。
「どんな商品って、僕のことか?」、
さすがに苦笑しましたが、先方の研究所長さんからは、ビックリするぐらい高額の年俸を提示されました。
この年俸額には、人材紹介会社の営業マンの方も驚いたようで、当然、僕はそのまま引き受けるものだと思っていたようです。
しかし、結局お断りする事となりました。この仕事と農業の仕事とは両立できないと思ったからです。
当時、たまたまある介護施設を訪問する機会がありました。入所している高齢者の方々を見ながら、人間、いつかはこうなるのだし、いつかは死ぬんだなぁと思いました。
そして、やっぱりやりたい事をやらないで一生終わるとなると後悔するだろうなと思いました。
提示された年俸額には惹かれましたが、やりたい事を優先させる事にしたわけです。
撤退戦再建戦では、取れるものは取り、なりふり構わず行動する事は必要です。同時に「やりたい事」が出来なくなるような事はしないと言う事も必要なのです。