さいたま市の2023年6月の最高気温積算値は775℃。1980年以来44年間で第3位です。
1980年代は、おおむね6月の最高気温積算値は700℃前後でしたが、2020年代は770℃以上で、1日あたり2℃以上高い水準となっています。
こうした高温化状態は何をもたらしたのでしょうか?
さいたま市6月の月降水量は合計315ミリで、1980年代以来で第二位でした。
6/2に185ミリ、6/3に50ミリが記録されており、2日間の合計で235ミリです。
つまり、2日間で1ヶ月の降水量の約70%が降ったことになります。
実際、この時は、見沼菜園クラブも一時的に冠水しました。
この2日間の豪雨を除いて考えてみると、2023年は、平年に比べて日降水量2-3mmの日と、11-20mmの日が多く、1mm以下の日、4-10mmの日は少ない事が分かります。
旬ごとに比較してみると、上旬は1980年代と2020年代であまり気温のレベルに差がないように見えます。
他方、下旬は、1980年代は20℃前後だったのが、2020年代は25℃を超える場合もあり、かなり高くなっています。
降水量については、1980年代は、上旬で10ミリ以上になることはありませんでしたが、2010年以降、20ミリを超えた年も2度ありました。
下旬はむしろ2010年以降、ほぼ10ミリ以下です。
日照時間については、1980年代は、下旬で1日6時間を超えることは、ありませんでしたが、2010年代以降は8時間の年もあります。
11月以降の各月各旬の気温を1980年代と2020年代で比較してみると、
概ね冬~春にかけて月を追うごとに気温水準が開いている(冬でも春でも2020年代の方が温かいが、春の方がより温かい)
4-5月頃から1980年代と2020年代の気温水準差が縮小すると言う傾向が読み取れます。
どうやら、さいたま市で気温15℃を超えたあたりから、海水温も高くなっている事が多く、雲が形成されやすくなって、雨が降りやすくなっているような気がします。
6月初、更に海水温が高い状態になると、その年の状況にもよりますが、時として集中豪雨が発生する場合があるようです。
5月~6月初にかけて、多量の雨が降るような状況下では、一時的に海水温は下がり、雨雲の発生は抑制されます。(気温も下がるので、1980年代と2020年代の気温水準差は縮小します。)
これもその年の状況によりますが、2010-2020年代には、6月下旬に降水量が減り、日照時間が多い年が出てくるのは、そのためではないかと思われます。(雨で気温が下がることがなくなってくるので、2020年代の「高温化」状態が「そのまま」出現する形になり、1980年代と2020年代の気温差が拡大します。)
「梅雨」の時季の天候は、地球全体の気象現象、例えば、エルニーニョのようなことにも関わっていますが、全般に高温化することによって、梅雨が変調をきたしているような状態になっていると言えます。
見沼菜園クラブでは、6/2-6/3の冠水で白菜やミズナなどが駄目になりました。
カブも6/2-6/3は大丈夫でしたが、その後、気温があがり、玉が大きくなったものが実割れ、6/10頃の雨水が入り込んで内側から腐らせました。
また、ジャガイモは30℃以上になるとイモの肥大化が起きにくくなります。
6月中旬から30℃超の日があった2023年はイモの収量が少なかったようです。
夏野菜の生長は早く、4月以前に種まきしてうまくいかなかったものを5-6月に「まき直した」ものが順調に育ち、例年なみに追いつきつつあります。
このように考えてみると、4月、あるいは2-3月頃から梅雨期から夏の高温化を前提に春・夏野菜の栽培方法を工夫した方がよいように思われます。
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