夏はどのようにやってくるのか・・・「2023年7月」

さいたま市の2023年6月の最高気温積算値は965℃。1980年以来44年間で最大の値となりました。

特に7月後半からは、ほぼ連日最高気温35℃以上の「猛暑日」が続いており、この記事を読んでいる方の実感としても今年は「とりわけ暑い」と思われていると思います。

月の降水量は12mmで1980年以来、最低値。日照時間は219時間で1980年以来の最大値。

降水量1mm以下の日は、全体の83%を占め、例年の64%より2割も多い状態でした。

2023年7月は、雨が少なく、強烈な日射がずっと続く暑い7月だったことは確かだと思われます。

ただ、このような「暑く乾いた7月」についても細かくみていくと、「夏の訪れ方」について、例年との共通点もあるように思われます。

7月の最高気温積算値の5年移動平均は、1980年代にはほぼ800℃以下で推移していました。

しかし、2012-2019年は870℃-880℃台と1980年代より一日あたり2℃-3℃高めになっています。

単年度の値は、2019年、2020年と2年続けて800℃以下となったことが反映して、5年移動平均は2020年以降840℃~850℃台と2010年代よりやや下がっています。ただ、2021年以降は、850℃以上、特に2022年は891℃、2023年は965℃と900℃近くかそれ以上となっています。

ところで7月の最高気温積算値と月降水量のグラフを描いてみると、積算値800℃ぐらいまでは、降水量が増えるにつれて気温水準も上がっているように見えます。

しかし、800℃を超えるとそうは言えず、850℃以上では、むしろ雨が多い方が気温が下がっているようにも見えます。

一方、最高気温積算値と月日照時間の関係をみると、日照時間が増えるにつれて気温の水準も高くなっているように見えます。

どうやら、「雨が少ない」と言うだけでなく、曇りの時も少なく、日射が地上に差し込む時が多い年は気温の水準も高めになると言うことが言えそうです。

2023年は特に「乾いた」状態だったので気温水準も高くなったのでしょう。

上旬、中旬、下旬を分けて、旬ごとにまとめてみると、最高気温日平均の5年移動平均は、上旬は1980年代は25℃-26℃台でしたが2010年以降は29℃近くから30℃以上になっています。

半夏生(7/2-7/6頃)と重なる7月上旬は、2010年-2020年代は4℃ぐらい暑い水準になっているわけです。

中旬については、1980年代は24℃-25℃程度でしたが、2010年以降は27℃-28℃になることも多く、2023年は29℃台でした。

なお、2019年は23.6℃、2020年22.6℃でした。半夏生、小暑(7/7頃)を過ぎた7月中旬は、上旬より一時的に気温が下がることがあるようです。

2023年についても7/10-12は36℃以上、特に7/10と7/12は38℃以上でしたが、7/13-14は31℃台に落ちました。

下旬の5年移動平均は、1980年代以降、27℃-28℃台です。年によって変化はあるものの、大雑把な傾向として2010年代以降、1980年代より暑くなっていると言う兆候はないようです。

ただ、2000年代前半までは下旬の方が中旬より気温水準が高い状態にありましたが、その後は「同程度」です。

つまり、21世紀は20世紀に比べて、中旬の気温の「一時的落ち込み」が減り、「ずっと暑い7月」になることが多いようです。

降水量の5年移動平均は、上旬については、1990年代後半-2020年代前半にかけて上昇した後、下がり、2010年代から再上昇しつつあります。

中旬、下旬については、1980年代と2020年代で大きな違いは生じていないようです。

一方、日照時間の上旬5年移動平均は、1990年代よりも21世紀になってからの方がやや増えているようです。

日照時間と降水量のどちらも増えると言うことは「降らない」、「曇っていない」時間が多い反面、降る時は「ドカ」っと降る・・・つまり、集中豪雨が起きやすくなっていることを示唆しているとも言えます。

30℃以上の日の出現頻度を見ると、半夏生、小暑を過ぎて中旬に入った頃から増えだし、大暑(7/23頃)過ぎから更に増えています。

ただ、一様に増えているわけではなく七十日目(立夏から70日、7/13頃)、一時的に減るようです。

一方、降水量10mm以上の日の出現頻度は、半夏生期には多く、七十日目前の7/12頃は一時少なくなり、7/15頃に増えた後、大暑前後の7/22-23には極度に少なくなります。

暑く乾いた2023年7月でしたが、半夏生期はそれなりに曇りの日が多く、気温もやや低めでした。

七十日目の前に最高気温36℃-38℃の日が続き、七十日目の7/13前後は31℃ぐらいまで低下、その後、再上昇して7/16-7/18は37℃-38℃となりました。

その後、また31℃台になった後、上がり始め、大暑過ぎの7/25以降は連日37℃-38℃となりました。

7月は、半夏生、小暑、七十日目、(梅雨明け十日)、大暑、夏の八十八夜(7/31頃)と言う節目を経て、「夏」が始まる時です。

そして、半夏生・小暑前はやはり曇りや雨の日が多く、六十日目(7/3頃)~六十六日目(7/7頃)は、各地で梅雨明け前豪雨が心配される時期です。七十日目前後は、前後に比べ、暑くなったり、ちょっと涼しくなったり、雨が降ったり、曇ったりと、少し変化があるようです。

七十日目から「梅雨明け十日」と重なりやすい大暑の時季は、晴れると強烈な日射となります。今年は気温の高さと相まって、どんなに服装(遮熱服、空調服など)や装備(ネッククーラーなど)、水浴びなどを工夫しても、短時間でも農作業がほぼ出来ないぐらいの状態でした。

また、無理をして夏ニンジンの種まきをしましたが、土が乾き発芽しませんでした。

大暑を過ぎ、夏の八十八夜、立秋(8/7頃)に向かう頃から日射が衰え、吹く「風」も変わってきます。

気温は高い日が多いですが・・・

この他、台風の到来やエルニーニョ現象、ラニャーニャ現象等の影響で、年ごとの特徴があるようです。

ただ、夏だから単に暑いとだけ思うのではなく、節季や雑節などの「節目」と中長期予報を組み合わせながら、その年の夏の到来のしかたを理解することは、農作業の意志決定に重要だと思われます。

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