2019年のさいたまの気象データ解析は1985年以来のデータを比較対象にしてきましたが、
2020年からは、1980年以来のものを対象にすることにしました。
元々、数年前に気象データ解析について試行錯誤を始めた頃、
過去30年のデータを元に平年値を算出すると聞いて、
1985年からのデータを比較対象にして作業をしていました。
昨年は、各地にシェアできるように、
スプレッドシートで自動的に集計やグラフ生成をするひな型づくりを優先させ
比較対象のデータとしては1985年以来のものを使ってきたわけです。
スプレッドシートのひな型がだいたい固まってきたのを受けて、
2020年のデータ解析を始めるにあたり、比較対象をどうするか、改めて考えてみました。
調べてみて、気象庁データベースでダウンロードできるさいたま市の観測値は、
1977年12月以降のものである事がわかりました。
どうやら、全国的に1977-79年頃に設置された観測点が多いこともわかりました。
(その頃に、観測点の数が増えたようです。)
今後、全国的に気象データを使って、野菜の生長や相場を予測していくネットワークを
呼びかけていき、参加者の人達にスプレッドシートのフォームをシェアしていく事を
考えた場合、対象とする期間も揃っていた方が、各地で相互比較しやすいでしょう。
そこで、各地の観測点が整備された後の1980年以降のデータを比較対象とする事にしました。
2020年1月のデータ解析は、新しい比較対象期間を用いての最初の試みとなります。
2020年1月のさいたま地方は、この時季としては非常に暖かかったようです。
最高気温の積算値は、1980年以来、歴代2位でした。
最低気温積算値は、なんと1980年以来、最高値となりました。
日ごとの最低気温を昨年1月と比較してみると、2019年は0℃を下回る日が25日もあったのに、
2020年は6日しかありませんでした。
1月としては雨も多く、日照時間0.0時間となる日が7日間もありました。
こうした気象条件が野菜の生育に与えた影響を考えてみると、
「悪くない」と言えるのではないかと思います。
まず、雨が多いと言っても、「1月としては」多めと言う事であって、
降り続く事はあまりありませんでした。
このため、日照不足に陷るほどの状態ではなかったようです。
晴れた日には、最高気温は10℃を超えていました。
霜よけのため、農ポリ等で「トンネル」をしていた場合、
トンネル内は、20℃を越えることもあり、光合成が進むには十分な気温が確保されていたと
思います。
冷え込んだ時にも、トンネル内は1-2℃は外気より高めになると思われますので、
霜が降りる事はあまりなかったようです。
夜間は日照がないので光合成は進みません。
夜間の気温が高いと呼吸が活発になり、光合成産物が消費されて、野菜の生長が進みません。
霜が降りる事はないと言っても、トンネル内が5℃以下になっていれば、
呼吸は抑えられていたと思います。
つまり、トンネルで保温された状態では、
昼間は比較的光合成が進みやすい一方、
呼吸による消耗が比較的少ないので、
光合成産物が野菜の生長に回される率が高く、霜によるダメージも受けにくい
「そこそこに」野菜が育つ状態で保たれたと見られます。
実際、見沼菜園クラブでは、昨年の台風19号通過後、
「ダメ元」で種まきした葉物類をトンネルしていたところ、
かなり育ち、1月に収穫できました。
地元野菜宅配サービス・野菜のマイクロマーケットは、
供給不足でお届けセットが欠品するのではないかと
危ぶまれていたのですが、
なんとかその事態を回避する事が出来ました。