2022年11月の最高気温積算値は、564℃でした。1980年以来の43年間で一番の値です。
実は2022年が一番暖かい11月だったと言うだけでなく、過去40年を振り返ると、「11月温暖化傾向」が続いていることがわかります。
11月の最高気温積算値の5年移動平均値をみると、1980年には453℃でしたが、2022年は540℃となっています。
つまり、11月の最高気温積算値レベルは40年間で90℃近く高くなっていることがわかります。
現在のさいたま市の11月は40年前に比べて、「1日あたり3℃高い11月」になっているわけです。
この「11月温暖化」は野菜の生育に影響を与えていると思われます。
日本の植物の多くは、5℃前後で光合成を始めるようになり、光合成速度は気温とともに上昇すると言われています。
だいたい25℃前後が適温になることが多く、あまり高温になるとかえって光合成速度は低下します。
実際に葉物の種まきから収穫までどのくらいかかるか調べてみると、日々の最高気温マイナス10℃の積算値が300℃台になることが多いようです。
この事は日最高気温10℃以下の日には、野菜はあまり成長していないことを示唆していると思われます。
光合成は午前中に行われることが多いため、日最高気温10℃の日は、朝日が当たっている時間は5℃+アルファ程度の気温のことが多く、ほとんど光合成が行われないと考えると、説明がつきます。
1980年以来のデータをみると、11月前半は最高気温20℃以上の日が多くなっています。
11月前半は、活発に光合成が行われて野菜も生長しやすいと言えるでしょう。
11月後半については、1980年は11/20以後、最高気温が15℃を超えた日は1日だけでしたが、2022年は8日もありました。
日最高気温10-15℃の時には、多少は光合成が行われるもののその量は少なく、野菜はあまり生長しないと考えると、40年前のさいたま市では11月後半には野菜は「止まっているようにしか見えない程度」の速度でしか生長しなかったと考えることができるでしょう。
しかし、現在は、11月後半になっても、野菜は生長し続ける状態が維持されていると考えることができます。
つまり、「晩秋温暖化傾向」によって、野菜の生長が11月半ばでほぼ止まるのではなく、11月いっぱい続くようになっていると考えることができるのではないかと思われます。
実際、見沼菜園クラブでは11月になってから、大根がかなり太りました。またニンジンの根の肥大も11月後半に続いています。
秋後半になると野菜の生育が遅くなるため、ある時点までに種まきをしないと収穫できるまで育ってくれません。
「11月温暖化」傾向によって、秋野菜の種まき時季を「後ろにずらす」ことも可能になっていると見ることもできます。
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