植物は、光合成を元にして体を形成しています。背の高い草や樹木があれば、それらに遮られて地上に達する日光が少なくなります。地表近くでは上層から漏れた光で育つ植物が育つなど、植物間では、日光をめぐって生存競争や共生が行われています。
たんぽぽ農法は、畑及びその周辺で、野菜と雑草、野菜どうし、雑草どうしの関係に注目し、畑及び周辺環境の生態系全体を管理する発想で作られた方式です。
たんぽぽ農法では、菜園周辺の自然、野菜、各種雑草、ハーブ、緑肥などの間の関係や、土壌と植物の関係、季節と植物の関係などが観察しています。
この観察結果を用いて、菜園の「形」や野菜の植え方、雑草の扱いに工夫を凝らし、季節ごとの気候変化に関わらず、様々な野菜が育つように手を施します。
野菜の生育を妨害しない雑草や他の野菜・緑肥類を活用することもあれば、排水路や溝を掘る事で大雨や寒波に対処することもあります。
たんぽぽ農法で生まれた方法には、排水路と「陸」となる畑で、違う作物を育てる「多様な幸が採れる農園づくり」やイモ類とロゼッタ型葉物の混植による同時期発生制雑草の抑制などがあります。
踏み込み温床のような既存の技法とも組み合わせた方法を用いることもあります。
また、農作業の時季の目安として、二十四節季や雑節(土用入りや八十八夜など)を使っています。
地上に届く日射は太陽高度の正接(三角関数のタンジェントのことです)に比例し、太陽高度は季節ごとの地球と太陽の位置関係によって決まっています。二十四節季は天動説で考えた太陽の軌道を二十四等分したもので、季節ごとの日射や日の長さを理解するのに適しています。たんぽぽ農法では、二十四節季だけで捉えきれない変化を雑節を用いて理解しています。
具体的には、秋の葉物は二百二十日(立春から220日目=9/10頃)前後に種まきをする、夏ニンジンは半夏生(7/2-7)頃に種まきをすると言った目安を定めています。