気象データによる作型開発の可能性

沖縄でサツマイモを育てている人と知り合いました。

サツマイモの裏作でマメ類を育てる事は出来ないか考えていると伺いました。

実は本土の場合、二年三作と言うサツマイモと大豆を含む輪作体系があります。

10月頃、サツマイモを収穫した後、11月に麦を植えます。6月に麦を収穫した後、大豆を夏まきして秋に収穫、翌年の5月まで畑を休ませてサツマイモを植えると言う方式です。

沖縄の場合、どうなんだろうと考えてみて、那覇の気象データを分析してみることにしました。

データは原則として1980-2021のものを用いました。ただし、解析を11月~12月にかけて実施したため、2021分データが出揃っていない部分がありました。11月那覇分、12月那覇・さいたま分は1980-2020のものを用いています。また、2月についてはうるう年とそうでない年についての処理が煩雑になるため、全て2/1-28分とし、うるう年でも2/29分のデータはカットして処理しました。

このため、厳密には、不正確な部分があると思いますが、例年の大雑把な傾向を見るには十分だと思われます。

さて、各月の上旬・中旬・下旬ごとの最高気温平均値をグラフ化したものが下の図です。

気象データは気象庁観測結果(1980-2021)による。ただし、11月那覇及び12月は1980-2020、2月はうるう年でも29日のデータをカットして算出。

見沼菜園クラブがあるさいたま市でエダマメを育てる場合、4月頃に種まきして7月取りするか、7月頃に種まきして9-10月取りするのが普通です。

種まきが5月以降にずれ込むと開花期に気温が高くなり過ぎて花が散ってしまい、あまり収穫できません。

もちろん、あまり気温が低いとエダマメが育ちません。生育期間全般を通じて、最高気温平均値20-25℃程度、25℃を上回るにしても、開花期には30℃以下程度になっている事が必要と思われます。

この条件に当てはまる時季を沖縄で考えてみると上のグラフの茶色い線で囲まれた部分、つまり、11月まき3月取り~2月まき5月取りぐらいの栽培法が適していると考える事ができます。

サツマイモの裏作として考えた場合、沖縄は気温が高いので、本土よりはやや後ろのずらして植え付けることも可能だと思われます。

さいたまでは、5-6月頃に植えて10-11月頃に収穫するのが普通ですが、沖縄の場合、7月植えして12月以降に収穫し、その後、1-2月にエダマメの種まきをしたらどうだろうかと、沖縄の方にお伝えしてみました。

すると、台風が来る前にサツマイモを植えたいので6月までに植えたいとの事。そうなるとサツマイモの収穫期は本土とほぼ同じ10-11月頃になります。その後、12月頃からエダマメを植えだし、3-4月頃に収穫できれば、エダマメ撤去後に畑を耕し直し、サツマイモの植え付けをすることが可能になります。

ちょうど春の時季は本土産のエダマメは出回らないので、その時季に食べられるエダマメとして出荷する可能性もあると言うような事をお伝えしました。

一般に、ある地域である時季にある作物の種まきや植え付けをしてある時季に収穫する栽培法の事を「作型」と言います。

例えば、さいたま市では、「ニンジンの7月まき12月取り」とか「ホウレンソウの2月まき4-5月取り」とかと言うのが「作型」になります。

今回の事例は、気象データを分析してみる事である地域にあった作型を考え提案する可能性を示していると思われます。

今後、こうした事例を積み重ね、気候変動時代の作型開発を考えていきたいと思います。

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